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今更ながら村上海賊の娘を読んで売れた理由に気づく

こんにちは、最近やることが多くて更新ができてなかったまきのすけです。

今日はちょっと気合を入れなおして久々に書評書いてきます。

今日ご紹介するのは前にかなりブームになった歴史小説、和田竜作「村上海賊の娘」です。f:id:animackey:20171027193443j:plain

 

なぜいまさらと思われる方が多数だと思いますがただ本屋で平積みされていてそういえば読んでなかったと思い買ってみただけです。

 

まずこの物語の簡単な紹介から

この物語の舞台の年代は長篠合戦(1575)の翌年であると目次の次ページに書いてあります。地域は村上海賊の根拠地である安芸から伊予周辺の島々から現在の大阪城のある大坂本願寺の間にかけて物語が展開されます。

この物語の主人公は村上水軍の中で最も大きな勢力を持った能島村上の当主である村上武吉の娘である景であり、海賊働きを行うほどの豪快な性格の持ち主であった。そのような性格に加えふっくらとした細目の女性が好まれた時代に筋肉質の体と大きな目を持っていたことから醜女(しこめ)と呼ばれていました。

この景の自由奔放な性格と父である村上武吉の智将でありながら景に対しては甘い親ばかな性格が合わさって物語が大きく動いていきます。

冒頭の部分をざっと紹介

信長と対立していた大坂本願寺への兵糧入れを安芸国の毛利家より懇願されていた能島村上家が兵糧入れを渋っていたころ(厳密にいうと渋っていたわけではないが頭が足りずうまいことまとめられなかったので長くなるので渋っていたことにする)いつも通り通行料である帆別銭の徴収へ海へ出ていた景が廻船を見つけ帆別銭の徴収へ向かう。この船は廻船のふりをして客を殺害し財産を奪う悪人の船であり景は見破りこの船を制圧、客を助け出す。この船に乗っていたのが大坂本願寺へ向かおうとしていた門徒たちであった。ここで景は生意気な少年留吉、爺である源爺と出会い、この二人との出会いが物語の最後まで重要となってくる。

この後のざっとした流れ(ネタバレになってる面もあるかも、ネタバレ嫌な人は目次を使って下の総評へ)

 

景はこの門戸たちを大坂本願寺へ届けるついでに源爺のうまい話に乗せられ堺へと向かい織田方の泉州侍たちと出会い交流を深めるも本願寺との本物の戦を初めて目の当たりにし、泉州侍の戦いでの言動などから華やかな印象しかなかった戦のほんとの意味を知り海賊働きを含めた戦いは一切やめようと決意し、能島へ帰る。能島村上は兵糧入れを承認するも織田の軍勢が河内で守りを固めていることを読み切っており戦へのゲン担ぎを言い訳に船を動かさなかったが紆余曲折ののち淡路島まで船を運び河内の守りを固めた泉州侍たちとにらみ合いが続いていた…続く

といったような流れになる。

 

総評

この小説はところどころ物語の流れの根拠及び武将の人柄についての根拠を文献史料を載せ説得力を持たせている。また生死の価値観の現在との相違もしっかりと書かれており信仰心や討ち死にすることへの考え方がまったく違う面が読んでるうえで新鮮さと面白さを与えてくれる。時代小説だと時代考証がしっかりされてないなどと言った辛口の評価をよく見かけるがこの小説はそのようなことはなくしっかりと分析をしたうえでフィクションとして一人ひとりの台詞がよく考えられていた。このような史実に忠実な流れと当時の価値観に合わせた物語の運びがこれだけ人気の作品を生み出した要因であると感じた。

 

ざっとした流れはクライマックス以外の4巻分の流れをほんとにざっと集約しただけなので物語の中で繰り広げられる人間関係などの細かい面は完全に割愛していて実際はもっと細かい描写がたくさんあります。

有名な武将からマイナーな武将まで幅広く扱っていることから知識を広げる面でもうってつけだと思うので是非一度読んでみてください。

久々に長い文章書いたので読みづらい文章だと思われた方ごめんなさい。ここまで読んでいただきありがとうございました。