マイペースにだらだらと書き連ねていくだけのブログ

書評はまじめに、おいしかったものはゆるく書いていきます

【書評】「分水嶺」 笹本稜平著 

こんにちはまきのすけです。

今日は笹本稜平さん著、分水嶺を読んだ感想などを書いていきます。

 

f:id:animackey:20180213214507j:plain

物語の内容

急逝した父の遺志を継ぎ、山岳写真家として生きることを誓う風間健介。父の愛した厳冬の大雪山で撮影中、絶滅したはずのオオカミに命を救われたという田沢保と出会う。風間は、田沢が亡き父と交流のあったこと、殺人罪で服役していたことを知るが、極寒の中、田沢と共にオオカミを探すにつれ、彼の人間性に惹かれていく。やがて、二人の真摯な魂が奇跡を呼ぶ―。 *1

このような内容となっています。

著者の笹本稜平さんは山岳小説を多く書かれていて、こちらの内容も冬の登山の場面を中心に物語が進んでいきます。

日本ではオオカミといえば絶滅したニホンオオカミが有名ですが、この物語の舞台が北海道であることからニホンオオカミと同じく絶滅てしまったエゾオオカミを探し求める話となっています。

エゾオオカミ - Wikipedia

感想

この物語は自然に対して人間がしてきたことへの批判的メッセージを強く感じる作品ではありますが、そのメッセージ自体も一部の動物保護団体のような行き過ぎた考えではなく、自然の形を保ったままで人と自然が共存することの大切さを説いてるように感じました。また、ライフワークとして一つのものを追い求める田沢の生き方をうらやましく感じ、自分も何か一つ人生をかけてでも追い求められるものがあったらいいなとも思いました。

内容もオオカミ探しのみではなく田沢の冤罪疑惑の真相を探ったり、大雪山リゾート化の計画を立てた殺人事件の被害者のグループからの妨害を一人の警察官と風間が泊まるペンションの管理人、そして主人公の風間と田沢で協力し乗り越えながら進んでいく内容で非常に読みごたえがあり読んでて先がどんどん気になる内容で物語の終わり方も普通の小説とはまた違ったクライマックスがあり、最後まで読者を楽しませてくれる本です。

登場する人物もさほど多くなく物語の流れ自体も頭にスッと入ってくるようなテンポの良さなのでぜひ読んでみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

*1:裏表紙内容紹介より引用