マイペースにだらだらと書き連ねていくだけのブログ

書評はまじめに、おいしかったものはゆるく書いていきます

【書評】植松三十里さん著「ひとり白虎-長州から会津へ- 」

こんにちは、今回は植松三十里さんの「ひとり白虎 会津から長州へ」を読んだので感想書いていきます。

なぜこの本にしたのか

この本の裏表紙の内容紹介の

 戊辰戦争に参戦した会津藩白虎隊士・飯沼貞吉。仲間達と自刃したが、唯ひとり蘇生する。江戸の謹慎所で、生き残りと謗りを受ける貞吉に、捕虜受け取り責任者楢崎頼三が、自分の故郷長州へ行こうと誘う。会津を失った貞吉は、敵だった長州へ楢崎と旅立つが……。異郷でもがき苦しみながらも、恩愛を知り、明治の日本人として誇り高く生きた実在の男の波乱の生涯。幕末維新に新しい光を当てる傑作歴史小説

 という文言と

f:id:animackey:20180413205432j:plain

この表紙に明治大正好きの血が騒いで買いました。

ちょっと内容紹介

上記の紹介文にあるようにこの本の主人公は飯沼貞吉で白虎士中二番隊唯一の生き残りです。

生き残り、捕虜となっていた貞吉は捕虜受け取り責任者の長州藩の楢崎に長州へ行こうと誘われ、悩みますがはっきりと決めることが出来ず成り行きに任せ不安を残したまま長州へと向かいます。楢崎は生き残ったことへの罪悪感がなくならない貞吉を立ち直らせ人の上へ立つ人間にするため長州の実家へと連れて行きました。そこで貞吉は1年8か月の間長州で人の温かみに触れたりして徐々に立ち直っていき、楢崎の留学に合わせ長州を出て、学校で学ぶこととなります。しかしここで白虎隊の生き残りということが知られてしまい再び心に傷がぶり返し、さらに波乱万丈な人生が待ち受けます。

感想

 

とにかくいい物語でした。

貞吉がもし飯盛山でそのまま死んでいたら貞吉としてはそこで気持ちの整理がついたかもしれませんが、死にきれなかった悔しさであったり、故郷を追われて苦しい思いをしている会津の人々を想い、苦しみながら周りの人と困難を乗り超え前に進んでいく貞吉の姿を見て、生きることの幸せを実感しました。

また、幕末から明治にかけて物事の価値観がどんどん変わっていく中で徐々に変わっていく貞吉の心情も過去との対比で示されていて時代の間で生きる人間の細かな心情があらわされていて面白いです。

この物語は実話を題材していて主人公はもちろんのこと登場人物も実在の人ばかりです。「現実は小説より奇なり」という言葉があるようにすべての物事のタイミングが面白いくらいかみ合ってどんどん物語にはまっていきます。

短いながらも深く、読み終わった後の解説も楽しい本です。

是非読んでみてください。