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「逢坂の6人」で六歌仙を知る!

こんにちはまきのすけです。

 今日は六歌仙及び古今和歌集をテーマにした本、周防柳さん著「逢坂の六人」を紹介します。

六歌仙とは何ぞやという方はこちらを見てください

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表紙がかわいい

この物語は古今和歌集の撰者に命じられた紀貫之の回想として一人一章ずつ+序章、貫之の子供頃の話、終と附の九章で物語が進められていきます。

この物語の特徴としては未だに詳細のわかっていない事柄(喜撰法師伊勢物語の作者)について、それぞれ紀貫之であるという説をとって書かれていること、適度にファンタジー要素が詰め込まれていて読者を楽しませる工夫がされていることです。

てことで序章からざっくり追っていきます。

 

序章

序章は勅撰和歌集である古今和歌集の撰者に貫之と紀友則壬生忠岑凡河内躬恒おおしのこうちみつね が選ばれて古今和歌集の序文に試行錯誤しているという内容で次の章へ進みます。

一章

一章は貫之の子供のころの話です。貫之は幼名あこくそと呼ばれていて、夢遊病のようなものに悩まされながら在原業平や母のあおいとの生活が書かれていて紀貫之の人間関係についてわかる章となっています。

二章、在原業平

二章は在原業平で昔、皇后であった藤原高子とのスキャンダルの様子や年を取った今でも変わらずイケメンな様子が書かれていて貫之の母との恋?の様子や小野小町との仲の良さが書かれています。

3章、小野小町

3章は前の章でも登場した小野小町で尼としてのやさしさや、若での告白を断った話などが書かれています。また小野小町の発言から貫之が土佐日記へのインスピレーションを受ける様子も書かれます。

4章、大友黒主

4章は大友黒主です。大友黒主は序章に寝ながらさまよっていた貫之を介抱するシーンで少し登場します。黒主は変わった人として書かれていてこの章は少しファンタジー要素が強いです。

5章、文屋康秀

5章は文屋康秀で商人としての顔と代詠みとしての二つの顔を持った人物で小野小町の章で登場しこの章でメインに語られます。遍照の寺へ向かう道中に貫之と話す商人としての気さくな感じが結構楽しい章となっています。

6章、僧正遍照

6章は僧正遍照の話でファンタジー要素が強く、すごい不思議な章です。

遍照については小野小町の章で少し語られていて仁明天皇との間柄もしっかりと書かれています。

遍照の章はかなり重要な章なので内容はこれ以上書きません。

終、六歌仙

6章まで終わった後は「終」という章になります。今までの内容による貫之の回想から古今和歌集が完成します。

終の後は最後の章で「附」という章です。この章のタイトル「むかし男ありけり」からわかるように伊勢物語の作者が紀貫之であるとい説によって書かれています。伊勢物語は作者不詳ですが題材が在原業平だと考えられている(確定ではない)ので伊勢物語の作者を貫之とするのは説得力あるのかなと思いました。

この説の批判は読んでいないのでその辺は了承ください、。

まとめ

歴史的事象について多少の知識は最低限必要になりますがただの小説としても物語にちゃんと起伏があるのに加え貫之の作品への伏線も張られたりするので十分に楽しめますし知識も増えると思います。

ただし、この本は学校などではざっくりだけで飛ばされがちな六歌仙について事細かに書かれていることからしっかり予習してから読んだほうが楽しめるかなと思います。私は予習せずに読んだ後に調べたので下調べしておけばよかったと少し後悔しました。

まあ下調べせずに読んでも面白かったのですが、もうちょっと六歌仙について知識を得てからもう一回読もうかなと思いました。

古代史や、和歌が好きな方は絶対楽しめると思うので是非読んでみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。